どんなメッセージを織りこみますか?

〜販売促進の発想

松岡宏行/スイスイ社取締役
2000 Spring

suisui college
kaimno

ブランドは企業の信用

商品の購買を決定づける大きな部分が企業の信用です。信用の有無は、企業規模と関係ありません。ブランドは企業の信用を端的に表すシンボルであり、高級品や一部の大企業の独占物ではありません。
ブランド価値を高めることと、普段の営業活動とその原理は同じです。一貫し、誠実であること。自分自身の考え方をはっきりと持つこと。顧客が望んでいることを明確な形にして提示すること。これらを製品や販促物デザインの上でも明確にできれば、ブランドづくりは進んでゆきます。
ブランド戦略が普段の営業活動と違うのは一点だけ。営業は人に、ブランドはモノに、企業の信用を語らせることです。デザインは、単なる装飾ではなく、企業の姿勢を表現するものなのです。

露出量とメッセージ品質

広告の費用は、その多くが媒体の費用です。限定されている予算のなか、出稿量を欲ばると制作予算にしわ寄せがきて、結果的にプアーな広告をまき散らすことになりかねません。

こうなると客観的には、お金をかけて企業イメージを下げていることになります。節約しているつもりで大きな浪費をしているわけです。
耳元で大声で叫ばれたときの気持ちを想像してみてください。リーチするかどうかは出稿量 の問題かもしれません。しかし内容の伴わないメッセージを、叫べば叫ぶほど、顧客の心は閉ざされ、肝心な部分に「リーチ」しないのです。
心に響くメッセージとはなんでしょうか。抽象的には、顧客の共感を得られるものとしか言えないかも知れません。顧客の立場に立つこと、顧客に有益な情報を提供しようとする姿勢であること、それがチェックポイントです。

ターゲットがすべてを決める

クライアントとクリエーターとが好き嫌いを主張しあうほど不毛な議論はありません。手慣れた営業マンは、先様の意見は「すべてハイハイと聞いておけ」と考えるかもしれません。自分の趣味を押しつけるクリエーターが信用できないと同様に、すべてにイエスという営業マンもまた信用できないのではないでしょうか。
タテ軸において、品質の高さがその企業がめざすイメージに到達しているかどうか。ヨコ軸として、その企業が真に顧客とするターゲットの好みに合うテイストをもっているか、ポイントはそのふたつです。
私たちは制作物のテイストにおいて不必要な議論はしませんが、ターゲット設定とクライアントのオーダーが一致しない場合は議論をおそれません。それが結果的に信頼関係を作ることになると信じているからです。

媒体特性にあわせシンプルに

新聞広告とポスターでは、表現が違って当然です。新聞は関心さえもってもらえば、手元で詳しく読んでもらえます。駅貼りのポスターが2秒以上注意を引くことはまれです。同じことは他のメディアにも言えます。
このことは自明のことのようでも、意外に忘れられがちなのが実際です。要素が多すぎて何が言いたいのか、つかみづらい広告をよく見かけます。
多くの場合、はじめはクライアント自身もシンプルなものがよいとわかっているのです。それなのに、いくつかの段階を経るうちに、要素が増え、効果が弱くなる傾向があります。このことは、組織における決定権のあり方に起因するのかもしれません。感性に依存する部分ではとくに、責任と権限の明確な委譲が、私たちの社会における課題となっています。

株式会社ほしゆうの会社案内のために書いたテキストを
ご了承を得て掲載させていただいております。

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