このかたちのまま、生き残れますか?

〜業態開発の発想

松岡宏行/スイスイ社取締役
2000 Spring

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企業の進化と業態転換

企業が十分に成熟して、なおも発展を目指すとき、業態の再検討が必要かもしれません。自前主義か外注か。直営かフランチャイズか。店舗中心の事業とするか、デリバリー中心とするか。相対の人間関係を軸とするか、インターネット取引に委ねるのか。
脚光を浴びているアメリカのコーヒーショップチェーン店は、直営店舗にこだわっています。サービス品質を高めコーヒー文化を伝えるために、哲学を共有する自社の社員が運営するという考え方で社員重視の経営を貫いています。業態と経営理念が直接に結びついている好例です。
企業の哲学に普遍性があれば、もっともよい形で活かす業態が必ずあるはずです。私たちは顧客企業の一番の得意をみつけ、活かす戦略づくりをお手伝いしたいと願っています。

インターネット・マーケティング

インターネットをビジネスに取り込むことは、いまでは流行でも最先端でもありません。インターネットは、オペレーションや接客技術を取り込んで、もはや一種の業態そのものといえるでしょう。

e-ビジネスは、マス・マーケティングの一面を持ちながらも、その本質は個と個のコミュニケーションです。ここでの情報は、企業から押しつけるものではなく、ユーザーの主体性によって引き出されます。
ユーザーは、すでにあなたの会社に関心があるので、期待に沿った対応をすればただちに購買行動に結びつきますが、他方、対応をあやまれば一気に信頼を失ってしまいます。インターネットを絶対に過小評価するべきではありません。マス・マーケティングよりも濃密なメディアであることに留意すべきです。

時間を売るビジネス

古いモノを捨てさせて新しいモノを売る、従来型のビジネスに限界が見えてきた一方で、「時間」を売るビジネスには限界がありません。80年代の景気を経験した消費者は、節約はしても貧相なライフスタイルで我慢できるわけではありません。
彼らは、従来やむを得なかった時間消費を最小にし、満足度の高い「自分の時間」をもつことに 高い関心を持っています。e-コマースもワンストップショッピングも、この延長上にとらえることができます。
月曜日にアメリカのインターネットサイトに商品を注文すると、木曜日にフェデックスが届けてくれる時代です。顧客満足の水準も、業界や地域を超えて一番よいサービスを提供する会社が比較の基準になりました。同業者との比較でものを考えていればよい時代ではなくなったのです。

生涯顧客

社会の成熟化にともない、価値観もますます多様化しており、従来のように大量生産・大量販売で成り立つビジネスモデルはどこも疲弊しています。
現代の消費者は、自分の好きなもの、これと決めたものには出費を惜しまない消費傾向がますます強くなっています。現代では、ある商品についてお客様の方が販売者よりも知識があることはめずらしくありません。消費傾向が濃く偏在しているのが現代の特徴です。
驚異的な成長を見せたコンビニも、利用する人の頻度は非常に高いけれども、コンビニにあまり行かない人もまた多いのです。 特定層につよく継続的に訴えかける業態、ある顧客層をつかまえたら、一生涯顧客でいてもらうためのあらゆる工夫が、生き残るための一つのカギになるでしょう。

株式会社ほしゆうの会社案内のために書いたテキストを
ご了承を得て掲載させていただいております。

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