2012、今から始める動画撮影とYouTube。
動画を撮影し、MacのiMovieで編集、YouTubeに公開するため、現時点で有効な知恵をまとめた。
(0)動画の画質
横タテの解像度、毎秒何枚のフレーム数、走査方式で決まる。
- 1080pは、フルHD(ハイビジョン)。1920*1080ピクセル。pはプログレッシブ(全数走査)、iはインターレース(1行おきに走査)を表す。日本のテレビ放送は60i(毎秒60枚、1行おき走査。ただし解像度は地上波とBSで異なる)、コンピュータは30p(毎秒30枚)。
- 720pは、HD(ハイビジョン)。1280*720ピクセル、毎秒30枚、プログレッシブ。
- それ以下は、SD(標準画質)という。DVD画質(720*480)等。
(1)撮影
撮影前に、ファイル形式を決める。
- MOV:サイズ、画質いろいろに設定可。緻密な編集に適している。データは重い。
- AVCHD:1920*1080(60i)……高画質。家庭のテレビで観るのに適している。データは重い。*60pは最も高画質だが、後発規格のため対応していないテレビがあり、iMovieで編集ができない。
- MP4:1280*720(30p)等いろいろ設定可。……パソコン、YouTubeに適している。720p以上にすれば、YouTubeでもHD配信される。
- iFrame:960*540(30p)……iMovieで簡単に編集するのに適している。軽い、早い。YouTubeではSDの扱いになり、低画質で配信されるのが欠点。
撮影のコツ
- ホワイトバランス(=RGBのバランス)を調整すると発色がよくなる。
- iPhone画面を撮る場合、FreeLight等のソフトを使い、画面を白(グレー)に発光させてホワイトバランスの基準とするとよい。
- 三脚を使う。(ゴリラポッド、雲台が便利)
- 外部マイクを使う。(スイッチの入れ忘れに注意。プラグインパワーの場合、スイッチ常時ONでミスを避ける)
- 照明を使う。
- マニュアルモードを使う。
- ワイドコンバーターレンズを使う。
カメラの動かし方
- カメラを安定させること。(三脚、持ち方、姿勢)
- ズーム画角を決めてから撮影する。撮影中はなるべくズームを動かさない。
- 撮影中はなるべくカメラを動かさない。
- カメラを動かすときは、ゆっくり一方向にのみ動かす(パン、チルト)。往復しない。
- 雰囲気を表すため、編集素材として、周囲の無駄なものを多く撮る。
- 4秒以内の映像を重ねてリズムをつける。
- 人を撮るときは、なるべくカメラを離して望遠側で撮る。
絵づくりのコツ
- 人に目がいく。美人でなくてもよいが、人物が中心であること。
- 服装は無地。赤、オレンジ等、明るい色であると魅力的に見える。(細かい柄はモアレになる)
(2)読み込み
iMovieへの読み込みは、MacにSDカードを挿して(またはカメラをUSBでつないで)、カメラアイコンから読み込む。チェックマークをつけて動画を選んで読み込む。
- iMovie ’11では、問題なくAVCHDも読み込める。(内部でmovに変換している)
- iMovie ’09では、SDカードにAVCHDとiFrame(またはMP4)が混在していると、AVCHDファイルを読まない(ファイルが見えない)。
解決方法
- SDカードからiFrame(またはMP4)動画をすべて削除する。ただしファイルを失う危険が大きい。 SDカードからファイルを削除する癖をつけるべきでない。
- 「ディスクユーティリティ」で「新しいディスクイメージ」をつくり、そこにAVCHDのファイル(PRIVATE>AVCHD>BDMVフォルダをフォルダごと)をコピーする。その後にSDカードを抜き、iMovieを改めて立ち上げると自動的に読み込む。ディスクイメージを作る時間、コピーする時間がかかる。
- 当面、撮影時にAVCHD専用のSDカードとiFrame(またはMP4)専用のSDカードを使い分ける方法がよいのではないか。
では、iMovie ’11にしたらいいじゃないか
- iMovie ’11は、Mac OSに10.8(Mt. Lion)を要求する。10.6ではiMovie ’11を購入できない。Mac OSを10.7以上にしてしまうと古いソフトが動作しない。
- FinalCut Pro Xにすれば、AVCHDをネイティブに扱えるため、導入の価値がある。
読み込みサイズが問題。
- 大(iMovieのお勧め):960*540
- 最大(カメラ撮影時のオリジナルサイズ)
悩みどころ
- 「大」の画質はやや落ちるが、コンピュータやモバイルで見てわからない程度の劣化であり、編集や保存に合理的というのがAppleの主張。
- YouTubeでは720p以上をHDと定義しているため、「大」でYouTubeに公開するとSD扱いされてしまい、通常360p(最悪240p)で配信される。手軽にアップしたいビデオブログ等は「大」でいいが、商品等少しでもキレイに見せたいときは「最大」とするしかない。
(3)iMovieで編集
- 読み込んだビデオ素材の一片は「クリップ」と呼ばれる。
- 一連の日時で撮影したクリップの集まりが、「イベント」。
- イベントライブラリーから作品に使う素材を選んで「プロジェクト」に並べる。
- 字幕は、プロジェクト内のクリップに乗せる。
- iMovieで編集する場合、AVCHDを最大で読み込んでもアウトプットは720pになる。1080pにはならない模様。
- 3分以内。できれば1分半で。
(4)保存/共有
- システムディスク以外に、映像用ハードディスクを用意したほうがよい。
- iMovieでは、ファイルは自動的に保存される。
- ムービーの書き出しは、すべて「共有」メニューにある。
- ムービー書き出し(MP4)、QuickTime書き出し(MOV。画質音質を詳細に設定できる)、iDVDに焼く(画質良く焼くには工夫が必要)、YouTubeにアップロード。
(5)YouTubeにアップロード
- アップロードするときに、用途に応じてサイズを選ぶ。
- 960*540だと、SD配信(最高480p、普通320p、最悪240p)になることに注意。HD配信したければ、720p以上にしなければならない。
- アップロードには時間がかかる。
- アップロードの直後は低画質でしか見れない。時間をおいて高画質の配信用データが作られる。
- 配信品質にかかわらず、YouTubeはアップロードしたときの高画質データで保存している。通信状態に応じて配信品質を変えている。
- YouTubeの管理画面で、統計データが見れる。経過時間、どの場面で視聴者が離れるかがグラフで示される。短く編集すること、目をひくものを最初に置くことの重要性がわかる。
(6)カメラ選び
- ここ数年、急にスチルカメラのムービー性能が上がった。ビデオカメラは瀕死の状態。
- スチルカメラの動画画質が非常にいい。ただし、ズーム、手ぶれ、動くものへのAF速度が弱い。三脚立ててじっくり撮影の時はスチルカメラが優位。動く被写体を立ち位置を変えながら撮るときは、ビデオカメラが優位。
- iPhoneのカメラ性能がいいので、iPhoneに足りない部分(ズーム、手ぶれ補正、圧倒的な画質)が優れてなければ、あまり買う意味がない。
動画撮影を重視するときのカメラ選択ポイント
- バリアングル液晶(安定した構えで撮影できる。自分撮りできる)
- 外部マイク端子(できればヘッドフォン端子)
- 動体へのAF反応性(速度)
(7)iFrameについて
iFrameは、2009年にアップルが定めたビデオフォーマットで、パナソニック、キャノン、ニコン、ビクター等が採用した。iMovie ’09から対応している。iMovieで変換を要せず手軽に扱えるため、本来は使いやすいフォーマットだが、現状、YouTubeで高画質(HD)配信にならないことが欠点である。
YouTubeに540pという配信規格ができれば使い勝手はよいだろう。iPhoneでさえフルHDで撮影できiFrameを使わないのだから、将来性は疑問かもしれない。(キャノンのPowershot G1xは720pのiFrameで撮影できるそうだ。YouTubeでもHD配信できそう)
(8)編集後のファイル容量(1分半、MP4)
- HD(1280*720):約120MB
- 大=iFrame(960*540):約40MB
- 中(640*360):約20MB
- モバイル(480*272):約10MB
以上